
工学部や理工学部では必修科目に指定されることが多い物理ですが、大学で学ぶ物理は高校時代と比べ物にならないほど内容が高度になってきます。
高校時代に物理が得意だった人が、大学に入って物理が難しいと感じる場合もあります。
不得意だった人が、そもそも大学の物理の授業についていけないと感じてしまう場合もあります。
そんな物理ですが、設計、製造、制御などの様々な分野の基礎になる重要な科目です。
しかしながら入学試験の科目に物理が必須ではない場合もあるため、中には高校時代に物理を履修せずに上記のような工学部・理工学部に入学した学生もいることでしょう。
今回はそのような学生に向けて、高校物理の復習方法や大学物理の取り組み方をお伝えしたいと思います。
物理学と数学は切り離せない関係
物理といっても扱う分野は広く、「力学」、「熱力学」、「電磁気学」、「波・波動」など様々です。
しかしながら、幼い頃からこれらの分野に関する現象を体感してきたことと思います。
例えば
・ 体重差がある人とシーソーで遊ぶためにはどう座ればよいか
・ うちわや扇風機を使うとなぜ涼しく感じるのか
・ モータが電気で回転するのはなぜか
・ サイレンを鳴らした救急車が近づいてくると徐々に音が高く聞こえるのはなぜか
原理を説明できるものもあれば、うまく説明できないけれども現象を体感したことがあるというものもあるでしょう。
これらの現象を解明するのが物理学であり、論理的に結果を示すために数学が用いられます。
「なんとなくこうなる」という曖昧なものではなく、「こういう原理でこうなる」と示されるのが物理学の特徴ではないでしょうか。
これらのことから、物理学を勉強するうえで数学は必須といえるツールであると認識されています。
数学が苦手な人は物理も苦手という傾向がよく見られますが、特に微分積分や三角関数は物理学で頻出するためしっかり復習しておきたい単元です。
さらに大学数学で登場する偏微分も物理学に必須といえる単元ですので、物理学で必要になることを意識して授業に参加したいですね。
微分積分を活用して覚えよう
ここでは微分積分が具体的にどう登場するかを見ていきましょう。
例えば物体の運動を表現する「変位、速度、加速度」の単元ですが、高校の教科書には速度vや変位xを求めるための式が公式として記載されています。
いきなり公式を暗記するところから始めなければならないのか、と思いたくなりますよね。
それ以降のページをパラパラとめくっていくと、他にもたくさんの公式が登場するため気が滅入ってしまう人も多いでしょう。
でも大丈夫。
ココがポイント
微分積分を活用すると公式を簡単に導出できるものがあり、単なる文字列としてではなく意味のある数式として理解できるようになります。
速度vは変位xの瞬間的な変化量であり、加速度aは速度vの瞬間的な変化量です。
つまり、変位xを時間tで微分したものが速度vであり、速度vを時間tで微分したものが加速度aである、ということです。
さらに詳しく
ということは、加速度aを時間tで積分すれば速度vを求める式になり、さらに速度vを時間tで積分すれば変位xを求める式になるんです。
じゃぁ高校の教科書にそう書いてくれれば手っ取り早いのに、と思いますよね。
しかし一般的に微分積分を学習するのは高校2年生の後半頃になるため、学習指導要領で微分積分を使わずに指導するよう定められているからなんです。
でも大学生であれば微分積分は高校時代に学習してきたと思いますので、このように積極的に微分積分を活用することをお勧めします。
微分方程式を解けるようになろう
次に微分で表現された方程式(微分方程式)について見ていきましょう。
物体の運動を解析する際、重力以外の力が物体に作用する場合は運動方程式を解くことが多いでしょう。
物体に作用する力の中には、ばねのように変位xに比例する力や、空気抵抗のように速度vに比例する力があります。
これらの力を受ける場合は、運動方程式の中に加速度a、速度v、変位xが混在することになります。
1つの式の中に複数の未知数がある場合は解が一意に定まりませんね。
さて、ここで先ほどお話した微分積分の概念を活用するとどうでしょう?
速度vは変位xを時間tで微分したもので、加速度aは速度vを時間tで微分したものでしたね。
つまり、速度vは変位xの1階微分として表現でき、加速度aは変位xの2階微分として表現できることになります。
これを運動方程式に代入すると、変位xに関する微分方程式が登場するんです。
今回は力学を例に挙げましたが、力学以外の分野であっても当たり前のように微分方程式が出てきます。
これを解くためには数学の力が必要になってきますので、大学でも微分積分をしっかり勉強しておきたいですね。
物理学と数学とは密接な関係にありますので、頑張って取り組んでください。
推測と結果を比較しよう
物理学における様々な現象は、数学の力を借りることで解析できることをお伝えしてきました。
結果を数式として捉えるだけではなく、グラフに表示してみたり、複数の変数がある場合は1つを固定値にしてみたりすると物理現象を把握しやすくなります。
この結果は数学的に示されたものですが、現象を事前に推測していたものと比較してみましょう。
あるいは身近な現象と比較してみて、まったく同一の結果が得られたでしょうか。
ココがポイント
ここでお伝えしたいのは、
「推測と結果が一致していれば素晴らしい、不一致であれば推測が間違っていた、ということではない」
ということです。
なぜかというと、数学的に現象を解析する際に 「〇〇は一定とする」 や 「〇〇が微小のとき」 などの条件を付けて数式を解く場合があるからです。
他にも 「〇〇は無視する」 といった条件を付けて現象を数式化することもありますね。
このような条件が付くことにより、解析結果と実際の現象とが必ずしも一致するとは限らないのです。
しかしながら不一致となった理由を考察することを繰り返していくことで、他の物理現象に対する推測力が身に付いていきますよ。
知識の引き出しも増えていきますし、ぜひ実践してみてくださいね。