
大学生の方は期末テストも終わって春休みに入る頃でしょうか。
大学受験生の方は、私立大学の入試の真っただ中であったり、国公立大学の第2次試験を控えている頃ですね。
4月から第一志望の大学に入学できるよう応援しています。
さて今回のコラムのテーマですが、
「大学の物理学でつまづかないために、何を意識して勉強すればよいか」
についてお話しします。
ココがポイント
大学物理は高校物理の延長線上にありますが、これまでに高校物理で学習してきた内容を一般化して表現したり、言葉を数式で表現することが多くなります。
極端な言い方をすると、可能な限り言葉を排除して数式で表現しようとするのが大学物理の特徴のようにも感じます。
代表的な例としてローレンツ力が挙げられます。
ローレンツ力とは、荷電粒子が磁場の中を運動するときに受ける力のことでしたね。
高校物理ではローレンツ力の向きはフレミング左手の法則に従うと学習してきたはずですが、大学物理では荷電粒子の速度ベクトルと磁場のベクトルとの外積でローレンツ力の向きを表現します。
このような理由で、高校物理はしっかり理解できていても大学物理になって急に難しくなり授業についていけなくなったと感じやすくなってしまいます。
少しでも心構えをしておくために、以下の項目を重点的に学習するようにしてみてください。
・ ベクトルでの表現に慣れる
・ 速度ベクトルと加速度ベクトルを位置ベクトルの時間微分で表現する
・ 慣性系と非慣性系を理解する
・ 座標変換を理解する
以下、上記4項目について詳しくお話ししていきます。
ベクトルでの表現
高校物理の最初に学習する 「 物体の運動 」 の単元を思い出してみましょう。
等加速度運動における位置・速度・加速度に関する公式が登場した単元です。
平面内での運動の場合、運動を水平方向と鉛直方向とに分解して数式を解きましたよね。
ココがポイント
大学物理では位置・速度・加速度をベクトルとして扱い、平面内の運動であっても空間内の運動であってもベクトルを用いて一般化して表現することが多いです。
これはいちいち平面(2次元)の運動や空間(3次元)の運動をパターン別に説明しませんよ、という意図のように感じます。
他にも等速円運動の単元を思い出してみましょう。
角速度ωで回転している円盤があるとき、高校物理では回転の向きを 「 時計回り / 半時計回り 」 あるいは 「 右回り / 左回り 」 などと表現していましたね。
ココがポイント
大学物理では回転の向きを 「 角速度ベクトル 」 として表現します。
角速度ベクトルは右ネジの法則に従う向きと規定されます。
また、先に説明したようにローレンツ力の向きをベクトルの外積で表現します。
ベクトルの外積の詳細はここでは割愛しますが、3次元ベクトルで定義される計算です。
このベクトルの外積を用いて、遠心力やコリオリ力を表現することができます。
このようにベクトルでの表現が多数登場することを予め知っておいてくださいね。
速度ベクトルと加速度ベクトルの表現方法
高校物理の 「 物体の運動 」 の単元では、等加速度運動における位置・速度・加速度に関する公式を学習しましたね。
大学物理では等加速度ではない運動、すなわち加速度が時々刻々と変化する運動を扱います。
ココがポイント
速度は位置の時間微分、加速度は速度の時間微分ですから、位置・速度・加速度の関係は微分・積分の関係で表現することができます。
さらに位置・速度・加速度をベクトルとして扱います。
加速度ベクトルを速度ベクトルの微分として表現したり、位置ベクトルの2階微分として表現することで、運動方程式を微分方程式として数学的に解くことが可能になります。
またベクトルとして表現することで、平面の運動や空間の運動を一般化して表現することができるようになります。
微分方程式の解法を知ることが様々な物理運動につながりますので、重点的に学習するよう意識してくださいね。
慣性系と非慣性系
高校物理でも登場する言葉ですが、両者の違いをしっかり説明できるでしょうか。
大学物理では座標変換の単元で登場するキーワードですね。
静止している人(厳密には等速直線運動している人)から物体の運動を観測するのが慣性系、加速度を伴った運動をしている人から物体の運動を観測するのが非慣性系になります。
後者の非慣性系では、運動する物体に 「 みかけの力(慣性力) 」 が作用しているとみなして運動方程式を立てました。
非慣性系では慣性力を考慮しなければならないという、どこか言葉の矛盾を感じますね。
みかけの力には、観測者が回転運動している場合に考慮する遠心力やコリオリ力なども含まれます。
これらの言葉が登場すると、苦手意識を覚える方が増えてきますよね。
観測者が回転運動をやめ、静止している状態で物体の運動を観測すればいいじゃないか、と思った方もいるでしょう。
しかし私たちは自転運動している地球上に存在しているため、地球上で静止しても残念ながら地球とともに回転運動していることになってしまいます。
ココがポイント
つまり私たちの身の回りに起こる物理現象を説明する際に、遠心力やコリオリ力といったみかけの力がどうしても必要になってくるということです。
台風の渦の向きはどちら周りなのか?
北半球と南半球とで渦の向きはどうなるのか?
赤道直下だと渦の向きはどうなるのか?
これらを説明できるようになるといいですね。
座標変換を理解する
前述の慣性系/非慣性系の続きになりますが、大学物理では静止座標系を並進運動する座標系に変換する手法や、静止座標系を回転運動する座標系に変換する手法について学習します。
これを聞くと難しく感じると思いますが、実際に難しいのは変換途中の計算式であり、座標系の変換結果にはみかけの力がちゃんと登場します。
ココがおすすめ
どんな結果になるかを事前に少しでも予習しておくことで、講義の中でどこが大切な部分なのかを知ることができ、重要度の高いポイントに絞って学習することができますよ。
少し話を戻します。
座標系の変換途中の計算では三角関数や微分といった数学の知識が必要になります。
ココがポイント
そして新しくベクトルの微分という概念が登場します。
ベクトルの微分が少し厄介なもので、微分すると方向が変わる場合があります。
しかしながら、ベクトルの引き算や微分の定義式を理解できていれば座標変換を理解できるようになるでしょう。
いかがだったでしょうか。
どんなことを学習するのか、わずかな予習をしておくだけで心構えがかなり変わります。
長距離走で目的地や時間を一切知らされずに 「 とりあえず走って 」 と言われるのと、目的地あるいは時間を事前に知らされた上で走るのと、どちらがよいでしょうか。
極端な例えかもしれませんが、物理学以外でも同様のことが言えます。
予習はペース配分を考える材料になり、心の余裕が生まれます。
講義の途中で慌てなくて済むよう、少しで構わないので準備して臨んでくださいね。